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高齢者の運転技能検査に「方向変換」追加へ、2027年6月施行案

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警察庁は2026年9月17日、高齢運転者が更新時に受ける「運転技能検査」に、新しく「方向変換」の課題を加える道路交通法施行規則の改正案を公表しました。意見募集は9月18日から10月17日まででした。方向変換の追加は、2027年(令和9年)6月1日に施行される予定です。対象になるのは、75歳以上で一定の違反歴がある人ですが、家族の運転を気にかけている人にも関わってくる話です。

方向変換の追加は、2027年6月1日に施行の予定

警察庁の広報資料によると、改正案の柱は次の2つです。

  • 運転技能検査の課題に「方向変換」を追加する(施行予定:令和9年6月1日)
  • 大型二輪免許の教習で使う「波状路コース」の形状・構造の基準を見直す(施行予定:令和9年2月1日)

後者は大型二輪の教習コースの話なので、ここでは前者を中心に見ます。なお、意見募集の段階の案で、確定した内容ではありません。募集期間は終了しており、今後は寄せられた意見を踏まえて府令が公布される流れです。公布の時期や最終的な内容は、警察庁の発表で確認してください。

運転技能検査の対象と、現在の課題

運転技能検査は、75歳以上の人のうち、過去3年間に信号無視や速度超過などの一定の違反歴がある人が、免許証の更新時に受ける検査です。2022年5月13日に始まりました。試験場や教習所のコースを走り、減点方式で採点されます。第一種免許は70点以上で合格です。

現在の課題は、指示速度での走行、一時停止、右折・左折、信号通過、段差乗り上げなどです。警察庁が公表した2025年中の実施状況では、対象者は16万5,756人、受検者は15万6,513人、合格者は14万5,935人でした。受検者のうち合格した人は約93%です。

追加の理由は、合格者のほうが事故が多かったこと

見直しのきっかけは、警察庁が行った追跡調査です。2023年5月15日から8月31日の間に検査に合格した5,270人と、違反歴がなく高齢者講習の実車指導を受けた8,233人について、受検・受講後2年間の交通事故を比べています。

その結果、10万人当たりの交通事故件数は、運転技能検査の合格者のほうが、75〜79歳で約4.5倍、80〜84歳で約2.3倍、85歳以上で約2.6倍でした。報告書の概要は、「運転技能が低下して交通事故を起こしやすい状態にある者が運転技能検査に合格していることがうかがわれる」と記しています。なお、検査の対象は一定の違反歴がある人なので、受講者との単純な比較ではない点には注意が必要です。

有識者検討会が着目したのは、アクセルとブレーキの踏み間違いです。報告書によると、2025年中のアクセル・ブレーキの踏み間違いによる死亡事故の約7割が、75歳以上の運転者によるものでした。そこで報告書は、後方や側方への注意とペダル操作を同時にこなす「方向変換」を、課題に加えるべきだとしました。

S字やクランクは見送り、方向変換だけが残った理由

検討会では、「S字」「クランク」も候補に挙がりました。しかし、これらは車両感覚を養うことに重点があり、ペダル操作の正確さを確かめる課題としては十分でないとされました。さらに、約150人を対象に、方向変換・S字・クランクをすべて加えて試したところ、所要時間は現行の約1.5倍になりました。検査時間が延びると、検査後の安全指導の時間が短くなるおそれがあるため、追加は方向変換だけに絞られました。

報告書が求めた、ほかの2つの見直し

報告書は、検査の内容のほかに、実施方法の見直しも求めています。

  • 減点項目に「安全不確認」を加える。追跡調査では、合格者が起こした事故の法令違反のうち、安全運転義務違反が約6割で、その約半数が安全不確認でした。
  • 交差点に入るまで一時停止しない「一時不停止(大)」の減点点数を引き上げる。事故を起こした合格者の約3割が、一時停止の課題で減点されていました。

今回意見募集にかかった施行規則の案に含まれていたのは方向変換の追加だけです。減点の基準は府令ではなく通達で定められるとされているため、この2つは通達の改正で対応される可能性があります。時期は現時点では確定していません。

対象の家族がいる人は、更新前に何を確認するか

対象かどうかは、更新の通知で確かめるのが確実です。次の点を確認してください。

  1. 対象になるのは75歳以上で、過去3年間に一定の違反歴がある人。違反歴がなければ、運転技能検査は受けず、高齢者講習(実車指導を含む)と認知機能検査を受けます。
  2. 検査は繰り返し受けられます。更新期間が終わるまでに合格できなければ、免許は更新されません。
  3. 新しい課題が使われるのは、施行日の2027年6月1日以降に受ける検査からです。それ以降に受検する場合は、公安委員会などが公表する課題の内容を確認します。

報告書が残した検討課題

報告書は、検査の強化だけでなく、高齢者の移動手段の確保にも配慮すべきだと述べています。検査の結果を踏まえたサポートカー限定免許の付与は、「引き続き検討」の段階です。更新できなかった人の代替手段は、委員から出た意見にとどまっています。

追跡調査では、事故を起こした合格者81人のうち41人(約5割)が満点で合格していました。点数だけでは、事故の起こしやすさを測りきれないことがうかがえます。課題を方向変換だけに絞ったのは、検査を厳しくすることと、検査後の安全指導の時間を確保することの折り合いをつけた結果と読めます。検査は更新時の一点の確認にすぎないので、家族が運転している場合は、合否とは別に、報告書の事例が集中していた駐車場での発進・後退や、一時停止での左右確認を、同乗して見ておくのが現実的でしょう。

参考にした公式情報

2026年10月18日時点の情報です。

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