秋の交通安全運動の死者は77人、これからは夕暮れ時に注意
ニュースの概要
警察庁は2026年10月2日、「令和8年秋の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況」を公表しました。運動期間は9月21日(月)から30日(水)の10日間で、この間の交通事故による死者数は77人でした。前年の同じ時期(令和7年9月21日から30日)と比べて3人少なく、3.8%の減少です。
数字だけを見れば前年より減っていますが、警察庁が運動の実施前(9月10日付)にまとめた資料は、秋から年末にかけて事故が増える傾向を示しています。日が短くなるこれからの時期に、ドライバーが何に気をつけるべきかを、警察庁の資料から整理します。
何が変わるのか
ここでいう「変わる」ことは法律や制度ではなく、季節による事故の傾向です。警察庁の資料(令和3年から7年の交通事故死者・重傷者数などを分析したもの)には、次のような特徴が示されています。
- 交通事故死者数は、秋から年末にかけて増加する傾向があります。
- 状態別の死者数は、3月から9月は「自動車乗車中」が最多で、10月以降は「歩行中」が最多になります。
- 10月以降、夜間の歩行中の死者・重傷者数が大幅に増えます。歩行中の死者・重傷者数は、児童(小学生)は10月が最多、高齢者は12月が最多です。
- 10月以降、夕暮れ時の死亡事故件数が増えます。資料のグラフでは、夕暮れ時(日の入り時刻の前後1時間)の死亡事故は、7〜9月の計348件に対して10〜12月は計589件で、約1.7倍です。
- 夕暮れ時の自動車と歩行者の死亡事故は、7〜9月に比べて10〜12月は約2.0倍で、横断歩道以外での横断が多いとされています。
- 飲酒運転による死亡・重傷事故件数は12月が最多、携帯電話等の使用による死亡・重傷事故件数は10月が最多です。
運動の全国重点は3つで、歩行者は「歩行者の安全確保と反射材用品の着用促進」、自動車は「夕暮れ時の早めのライト点灯と飲酒運転や『ながらスマホ』の根絶」、自転車は「自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底」でした。
読者への影響
日常的にクルマに乗る人にとって、いちばん関係が深いのは「夕暮れ時」です。仕事帰りの時間帯が暗くなり始める10月以降は、見通しが悪くなる一方で、歩行者もまだ多い時間帯です。警察庁の資料は、10〜12月の夕暮れ時の自動車と歩行者の死亡事故について、自動車側の法令違反として「前方不注意」「歩行者妨害等」「安全不確認」を、歩行者側の法令違反として「走行車両の直前直後横断」「横断歩道外横断」を挙げています。
ここから読み取れるのは、ドライバーの側も歩行者の側も、「相手が見えているはず」という思い込みが事故につながりやすいということです。運転する人は、歩行者が急に道路を横断する可能性を想定する必要があります。
自転車については(この項目は上の季節分析とは別の統計です)、資料によると、自転車乗用中の死者数は平成28年以降は減少傾向ですが、死者のうち「法令違反あり」の割合は8割前後で高止まりしています。ヘルメットの着用率(街頭調査)は、令和7年6月の21.2%から令和8年6月の24.4%へと、3.2ポイント上がっています。クルマを運転する側にとっては、自転車との距離の取り方や追い越しの方法も、気をつけたい点です。
確認しておきたいこと
- 夕暮れ時(警察庁の資料では日の入り時刻の前後1時間)を意識して、ヘッドライトを早めに点灯する習慣をつける。
- 夕暮れ時の住宅街や通学路では、速度を抑え、歩行者が横断してくる前提で運転する。
- 運転中にスマートフォンを見ない。10月は携帯電話等の使用による死亡・重傷事故が最も多い月とされています。
- 飲酒を伴う会合が増える年末に向け、飲酒運転は絶対にしない。同乗者への声かけも含めて、ルールを決めておく。
- 横断歩道の扱いは、当サイトの横断歩道の一時停止ルール違反が多発する理由や横断歩道で自転車に譲るべきかも参考にしてください。
- ヘッドライトの黄ばみが気になる人は、黄ばんだヘッドライトの磨き方も確認しておくと、夜間の見え方の対策になります。
筆者の見解
私見では、今回の数字で重要なのは「前年より3人減った」ことよりも、「これから10月〜12月に事故が増える構造」のほうだと考えます。運動期間の77人という数字は、運動が終わった後の時期を表すものではありません。警察庁の資料が示す季節の傾向を踏まえれば、運動が終わった10月以降のほうが、むしろ注意が必要な時期になります。
もう一つ、警察庁の資料から読み取れるのは、ドライバーができる対策が、特別なものではない点です。早めのライト点灯、速度を落とすこと、ながらスマホをしないこと。どれも基本ですが、夕暮れ時の事故の多くは、こうした基本の抜けで起きていると考えられます。ただし、事故の原因は個別の状況で異なり、統計は一般的な傾向を示すにすぎません。
運動期間の10日間だけ気をつけて終わりにするのではなく、季節の変わり目を「運転習慣を見直すきっかけ」にしてほしいと思います。
出典
2026年10月8日時点の情報です。
















