道路交通法(道交法)は全132条あり、「全てを完璧に理解している人はほぼいない」と言っても過言ではないでしょう。
その中には、分かっていても遵守するのが難しい物もあったりします。
単純にドライバーの注意が不十分で守れていない物もあれば、「これって必要!?」といった感じで交通の実状に合っていない物も存在するのです。
今回は、その代表的なものを5つ紹介していきます。
この記事の目次
法令遵守が難しい道交法5選
それでは早速、守るのが困難な道交法を5つ紹介していきます。
施設敷地に入る際の歩道手間での一時停止
これはほとんどの人が守っていない交通ルールだと思います。実際、ほとんど見かけたことがありません。
例えば、コンビニの敷地に入る際に、歩道を通過する必要がありますが、その手前で歩行者がいなくても必ず一時停止する必要があります。
このルールが守られていない理由は『守ると逆に危険だから』です。
後続車や対向車は『右左折車が歩道手前で一時停止しない前提』で車を走らせるので、一時停止をすると衝突するリスクが高いんですよね。
以下の動画を見てもらうと分かりますが、パトカーですら一時停止していないんですよね。
勿論、完全にクルマが途切れるまで待てば、安全に一時停止することも出来ますが、そうなること今度は道を塞いでしまい後続車が通れなくなってしまいます。
なので、見通しが良く歩行者がいないことが明らかな場合は、一時停止しないのが現実的な対応となっているわけです。
横断歩道と同じように『歩行者がいる場合のみ一時停止』というルールに改正した方が実状に合っていると思いますね。
制限速度を超過しない運転
制限速度遵守は道交法の中でも最も基本と言えるルールです。
ですが、実情としてはキッチリ守るのは非現実的です。
教習所では「40キロ制限道路では時速40キロを目安に走りましょう」「流れに乗って他のクルマに合わせて走りましょう」と教わります(20年前の話なので現在がどうかは分かりません)。
40キロ道路を時速40キロ目安に走れば、どうしても速度超過してしまいます。常時メーターを見てるわけにはいかないですし、EV車なんかは走行音が聞こえないので速度感覚が麻痺しがちです。
また、自分一人で走るわけではありません。40キロ道路を速度超過しないように時速30キロで走れば、後続車はストレスに感じる可能性が高いわけです。結果、周囲に配慮して時速40キロで走る必要性が出てきます(後続車に道を譲ってしまうのもアリ)。
また、以下の写真のように、死角だらけで制限速度で走るのが怖い道路もあるので、こういう場所は制限速度を適切なものに修正して欲しいですね。
ちなみに、速度超過は15キロ未満の超過であれば、警察も容認するケースが大半です(15キロ未満の検挙率は0.0032%)。
ただ、メーターの誤差で表示よりスピードが出ている場合もあり、わざわざ『15キロ未満』ギリギリを攻めると捕まる可能性があるので、あくまで制限速度を目安に走りましょう。
都心での左寄り運転(キープレフト)
都心での『キープレフト』も守っている人は少ないです。というより、路上駐車(停車)が多過ぎてルールを守れないんですよね。
ちなみにキープレフトには2つあって、道交法18条が定める『車線内の左寄りを走る』という意味と、20条が定める『第1車線(一番左の車線)を走る』という意味があり、このケースで言ってるのは20条の方ですね。
第1車線を走っていると路上駐車がある度に進路変更が必要になりますし、交通量が多い都心で頻繁な進路変更は事故リスクが高いです。
都心を走る場合は、法律よりも安全を重視して第2車線を走行するのが現実的でしょう。
黄色線をはみ出しての自転車の追い越し
いわゆるイエローカットですが、障害物や停止車両を追い越す場合以外、黄色線のはみ出しは違反です。
過去に『イエローカットして自転車を追い越すのは違反』となった判例がある為、法律的にはそういう事になっているようです。
ただ、黄色線が数キロ続くような場合、このルールを守るとなると、延々と自転車のペースで走り続けなければならなくなってしまうので、実情としては安全に追い越せるタイミングで追い越すようになっていますね。
自転車が一時停止して、そこを追い越せば違反にはならないのですが、自転車乗りがそこまで道交法を理解してる可能性は低いので、そうもいかないわけです。
ちなみ、以下の動画ではパトカーがイエローカットして自転車を追い抜く光景が見られます。
信号が無い横断歩道での減速・一時停止
先ほどまで紹介してきたものはルール違反がある程度容認されているのに対し、信号が無い横断歩道で、横断者がいないことが明らかではない場合を除けば減速・一時停止はマストです。しかし、様々な要因で守ることが難しいのが現実です。
その要因とは以下のようなものです。
標示の不備がある箇所が多い
まず、標示の不備です。
上の写真のように横断歩道に関する標示が消えてしまっている場所がかなり多いんですよね。標識だけでは見落とす可能性が高いから、標示(ダイヤマーク)が併用されているわけですから、こういう状態では反応が遅れる可能性は高いと言えるでしょう。
また、街路樹で標識が隠れてしまっているケースも稀に見かけます。
こういう風に案内標識と横断歩道標識を重ねる止めて欲しい。見落とす原因になる😓
重ねないにしても、案内標識の近くに横断歩道を設置するのは良くないと思う。案内標識に意識がいって横断歩道を見落とす確率が高まるからね🤔 pic.twitter.com/wumrwPu92g
— KAKERU@車とゲーム好き (@ks_product_com) January 21, 2024
他にも上記投稿の写真のように、標識同士が重なって視認性が悪くなってる場所もありますね。
人間が一度に処理できる情報量は限られているので、標識を設置する間隔は考えて欲しいと思います。
また、この写真のように、合流の直後に横断歩道があるケースは、歩行者がいても止まれない場合があります。
合流する際は周りのクルマに合わせて加速する必要があるので、スピードを上げ切った所に横断歩道があると、急ブレーキが必要になる可能性が高くなるわけです。
また、こういうケースもあります。
こういった片道2車線道路の場合、4車線のクルマが同時に停止しないといけません。
空いてる時間帯であれば問題無いですが、交通量が多い時間帯で4車線のクルマが同時に止まるのはまず期待出来ません。こういう場所には信号が必須だと思います。
場所・時間的な理由
人通りが無いような道路を深夜や早朝しか運転しない人は、そもそも歩行者と遭遇する機会がありません。
私も20年間運転していますが、「この付近では一度も歩行者を見かけたこと無い」という場所が無数にありますからね。
勿論、そういう場合でも横断歩道では歩行者の有無を確認する必要がありますが、機会が無さ過ぎるとそういう意識も薄れていくものだと思います。
歩行者の服装や属性
歩行者に起因する問題もあります。
夜間に目立たない服装をしていたり横断する意思表示が無いと、見落とされたり、「この人は渡らないのかな?」と思って素通りされる可能性があります。
また、個人的に一番気にしているのが、譲った際のサンキュー事故ですね。
大半の歩行者は一時停止して道を譲ると、申し訳なさそうに慌てて渡るんですよね。それで対向車と接触してしまったら譲ったことを後悔することになるわけです。
なので、歩行者は譲られても横断する際は慌てず、キチンと対向車が停止した事を確認してから渡って欲しいですね。
初ドラレコUP🎥
この歩行者は安全意識が高く左右確認して渡ってくれたけど、歩行者界隈みたいに『左右確認する必要なんて無い!』という愚かな考えだと対向車に轢かれてるよね😓
後続車もいないし歩行者の安全を考えるなら、「停止せず通過した方が良い」と考えてしまうのも分かる場面🧐 pic.twitter.com/hhKq79pB5b
— KAKERU@車とゲーム好き (@ks_product_com) January 21, 2024
この映像の歩行者はキチンと左右確認して渡ってくれましたが、『歩行者が左右確認する義務は無い!』と言って、我が物顔で飛び出すような人もいるので困ったものです…。